
VはTikTokで栄えるのか?バーチャルシンガー奏MiMiに見るネット文化の差違
世界規模での急成長を続けるTikTokですが、VTuberもといバーチャルなタレントの活動場所としての開拓は個人の単位では行われているものの、1ジャンルとして成立するには至っていないように思われます。しかし、そんな状況に新たな波を起こすニュースターが登場しているのをご存知でしょうか?
それがバーチャルシンガー「奏MiMi(かなでみみ)」さんです。メジャーデビューも果たしVTuberとしても活動するバーチャルシンガー富士葵さんの所属する株式会社Smarpriseに、同じくバーチャルシンガーとして所属する奏MiMiさんは、2018年12月から活動を開始するとTikTokをメインにファンを増やし約2ヶ月でフォロワーが10万人を越えるなど、破竹の勢いを見せています。
いかにして差別化を図るか
みーんーなーーー💜💜🌈✨
遂にTikTokファン数100,000人
到達したよーーーーう😻😻😻!!!
いぇーーーい!!!本当にみーーんなに
ありがとうって伝えたいっ💜💜💜💜✨
うれぴーーーーーいっ
ありがとーーーーーーーう😽💜!!!! pic.twitter.com/NXPzSZmGlG— 奏 MiMi (@MiMi_KANADE) 2019年3月14日
奏MiMiさんは「“歌って踊れるぽっちゃり猫”バーチャルシンガー」という看板を掲げていて、VTuberに多いような美少女キャラクター的ではなく、デフォルメされたマスコットチックな見た目で好評を博しており、大きな差別化を図ることでこれまでとは違う層へのリーチに成功していると思われます。
デフォルメされた猫というキャラクターは言ってしまえばディズニーやサンリオキャラクターのような、キャラクターとしてより市民権を得ているジャンルと親和性が高く、これまでのバーチャルタレントとは全く違った文脈での広がりを見せています。
活動開始に際し、YouTubeチャンネルでも洋楽のカバーなどを投稿していますが、チャンネル登録者数は約2,000人。Twitterのフォロワーは約1,000人とTikTokのファン数と大きな差が現れています。
奏MiMiさんのデータを見ても、YouTube,Twitter,TikTok,それぞれが独立したファン層を確立していて、中でもTikTokは新興のサービスということもあってか、より特殊な視聴者層を形成していることがうかがえます。
VTuber×TikTokの歩みとこれから
VTuberとTikTokといえば過去には「VToker総選挙」というイベントが開催されています。多くの人気VTuberが参加して話題になり、ここから一気にバーチャルタレントのTikTok進出が始まっていきました。
2019年3月前半にはTikTok全体での大型イベント「TikTokオーディション2019」が開催され、VTokerを含む「#アニメ大賞」部門のアンバサダーとしてキズナアイさんが就任しました。就任に合わせキズナアイさんも満を持してTikTokに参戦、コンスタントに動画を投稿しており、現在のフォロワー数は4万人ほど。
YouTubeチャンネル登録者数ではバーチャルYouTuberとしてぶっちぎりの1位であるキズナアイさんが参戦しても、すぐに大量のファンの獲得とはならないところにまたTikTokとYouTube、VTuberの文化の違いを感じさせられます。
VTokerの第一人者としてフォロワー数11万以上を誇る琴吹ゆめさんは見た目こそ美少女キャラクターですが、TikTokでの流行をしっかり抑えた丁寧かつ精力的な活動によって独特のファンコミュニティを築き上げてきました。琴吹ゆめさんや奏MiMiさんのように、これまでのVTuberとは違うVTokerとして特化するタレントが増えていくことで、外からの流入ではなく内から生じる1ジャンルとしてのVTokerが成立する日も近いのかもしれません。
「VToker総選挙」に「TikTokオーディション2019」と確実に歩み寄っているバーチャルタレントとTikTokですが、熱量の高い二つの文化が本格的に交わりはじめるブレイクスルーは内と外のどちらから起きるでしょうか?
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