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コラム

文化の拡張か消費か?~バーチャルYouTuberのマス化と地下化の共存を考える~

2017年末より始まったとされるバーチャルYouTuberブームは類を見ない昇り調子で成長し続け、その勢いのまま半年を迎えるかというところまできています。ビジネスとしての拡大も見せ、個人によるクリエイティブが盛り上げてきた市場に本格的に企業が参入することになっていきそうです。

先日はNHKで取り上げられたことで大きな話題となりましたが、最近ではYouTubeを飛び出して様々なフィールドでの活躍が見られるようになってきました。各種メディアに取り上げられることはもちろん、リアルイベントやTV、ラジオへの出演も記憶に新しいところです。

さてTVやラジオのような様々な人に届くように展開されていくことで起きてくるのがマス化=大衆化というものです。もともとYouTubeというユーザーが選んで見るプラットフォームで成長してきたバーチャルYouTuberはVRといった先進の技術を取り扱うこともあってコアな部分が強いコンテンツでした。そうしたバーチャルYouTuberのマス化はどのような影響を及ぼしていくのか、これまでの展開をまとめると共に考えていきたいと思います。

1. TV進出によるマス化

バーチャルYouTuberのマス化を考える上で象徴的な出来事はやはりTVなどの他媒体への進出です。

バーチャルYouTuber界のトップランナー、キズナアイはBS日テレにて冠番組「キズナアイのBEATスクランブル」をスタートさせました。「キズナアイ」を含んだツイートの数を見てみると感想などのツイートも多く見られ初回放送日の4月6日を中心に大きく盛り上がっているのがわかります。

TV出演しているバーチャルYouTuberというともう1人「電脳少女シロ」がいます。シロはバーチャルYouTuber初の地上波TV番組MCとしてテレビ朝日の「サイキ道」に出演しています。

公式ハッシュタグ「#SiroTalk」でのツイートを見てみると、初回放送日である4月9日には番組に言及したツイートを中心に大きく盛り上がっているのがわかりました。「サイキ道」は隔週での放送なので2回目の放送日は23日なのですが、そちらも盛り上がっているのがわかります。

両者を見てみるとTVへの出演が大きな盛り上がりを呼んでいることがわかります。シロの最も大きな盛り上がりも文化放送のネットラジオ「アニゲラ!ディドゥーーン!!!」へのゲスト出演によるもので、それを含めても他媒体への出演というものの影響の大きさがわかります。

露出が増えることによって多くの人の目に止まることとなり、こうした結果へ結びついていると考えられますが、現在の物珍しさにマスが食いつき、YouTube内で行っていることをただマスで行うといったものではなく、マスならではの予算とクリエイティブで、より多くの人へ届き、文化が拡張されることが命題と考えます。内容のコアさが薄くなったとしても、それを超越する恩恵がマス化、メジャー化にはあって然るべきではないでしょうか。

2. マネジメント事務所の登場

他媒体への進出に次ぐ大きな出来事といえばマネジメント事務所の登場が挙げられます。これまでも同じ企業に複数のバーチャルYouTuberが所属しているということはありましたが、先日設立された「ENTUM」は既に活躍していたバーチャルYouTuberを集めて所属メンバーとしてサポートをすることを発表したことで大きな話題となりました。

ENTUM公式ページより ENTUMへの所属が発表されたバーチャルYouTuber 元々株式会社DUOが運営していたミライアカリ、ヨメミに加え、個性的なスペシャリストとして活躍していた3名が加入した

マネジメント事務所の登場による影響としては個人ではやりとりが難しかった企業などとのタイアップがスムーズに行うことが出来るようになることが考えられます。事務所が連絡の窓口となることで交渉がやりやすくなり、どちらにとっても有益なコラボレーションが展開されていけば理想的です。
「ENTUM」の場合はもともとミライアカリを運営している株式会社DUOによるものなのでそのあたりに多いに期待できると考えます。

一方、これは極端なネガティブな考えですが、もしバーチャルYouTuberのマネジメントのノウハウを持たない企業がブームにのっかり我先にと人気クリエイターを囲うために突貫の事務所を設立するというような動きが出てくると、まだ全体としても市場を確立する段階にある中で、コンテンツとしても文化としても寿命が縮まることに繋がりかねないのではないでしょうか。

さらに、クリエイティブの担保、スケジュールの担保というのも、仕事として受けた際の課題であるとも考えます。そのあたりのブランディングとマネタイズのバランスを通して、マネジメント側の力量がはかられるのではないかと、SHAREPOPとしてコラボを考えるにあたり強く思うところです。

3. バーチャルYouTuberの地下化

TVなどの他媒体への進出、マネジメント事務所の登場という動きをまとめてみましたが、これらはどちらも人気バーチャルYouTuberの周りで起きていることです。もちろん人気者がどんどん新しい活躍をしていくのは当然のことですが、一方では人気者とそうでない人の差を強めたり、メジャー好き、マイナー好きといったユーザーのクラスタに隙間を生むことに繋がるかもしれません。SHAREPOPとしては、それは決してネガティブにとらえることなく、データを活用して正確にとらえることで、カルチャーの可能性を観測し、ときに広げていくことができればと思っています。

さて、そのような中で、先日「ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング」を運営する株式会社ユーザーローカルによりバーチャルYouTuberが2,000人に到達したことが発表されました。同時にチャンネル登録者数は全体で890万人にのぼることと、トップ20のランキングも発表されましたが、トップ20のチャンネル登録者数を合計すると約600万人で全体チャンネル登録者の6割以上がトップの1パーセントによるものということがわかります。この1パーセントはすくなくとも、いわゆるメジャーであり、マスに近い存在であると考えます。

また、ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング(4月28日) トップ5だけでもチャンネル登録者数は400万人以上。約半分です。マスへのリーチをしている、しかけているクラスといえるでしょう。

全員がYouTubeでの収益化を目的としているわけではないですし、様々なクリエイティブの場であるバーチャルYouTuberをチャンネル登録者数だけで語るのはナンセンスですが、1つの指標としてそういう数字が出てきます。まだまだバーチャルYouTuberの盛り上がりは一部による局所的なものではありますが、すでにチャンネル登録者数の格差はかなり大きくついています。

マスがメジャーバーチャルYouTuberをよりメジャーにけん引するかもしれませんし、事務所がたくさんのバーチャルYouTuberとクリエイターを所属させることで、ますますバーチャルYouTuberが増え、結果として広告収入やタイアップ収入ではない、CtoCビジネスによるアイドル市場のような地下化を助長するかもしれません。どちらも、先駆者である、生身のYouTuberやアイドルなどの類似性の高い事例を見れば考えられないことではないとも言えます。

4.まとめ

前項ではややネガティブや警笛のような表現に見えてしまいましたが、それもまた極端な考え方の1つに過ぎません。しかし市場が拡大し、注目が集まってくるとアクションの1つ1つが起こす波も大きくなり、どのような影響が出てくるかというのは正直計り知れないところです。

計り知れないというのはもちろんますますポジティブな方面においても言えることで、バーチャルYouTuberのここまでの発展を予見出来ていたかといえば出来ていた人は少ないでしょう。常に先進のテクノロジーとクリエイターの才覚と情熱によって進化し続けるバーチャルYouTuberだからこそ現在の盛り上がりがあることを考えれば、これからもありえないような速度で予想も付かないような発展を遂げていくことに大きな期待を持つことが出来ます。

また人気の格差というものについても一考の余地があります。たしかに1パーセントのトップが大きな割合を占めてはいますが、それ以外の場所に熱いムーブメントがないのかというと決してそんなことはありません。実際前回取り上げた「東雲めぐ」さんはトップ20にこそ名を連ねてはいませんが、素敵なコミュニティをファンと育むことで、バーチャルYouTuberとは異なる独自の発展を遂げつつあるわけですし、個人から企業まで面白いバーチャルYouTuberはまだまだいます。

 

さて今回はバーチャルYouTuberのマス化の流れとそれによる影響について考えてみました。コンテンツが大きくなる上でマス化は避けられない流れではありますが、それが良くも悪くもどのような影響を及ぼしていくかはこれから見守っていくしかないところではあります。しかしバーチャルYouTuberはこれまでにないほどユーザーとの距離が近いコンテンツで、そうしたユーザーコミュニティによる盛り上がりも巻き込んでここまで発展してきました。バーチャルYouTuber達による活躍を見つめながらも、我々メディアやファンとしても仮想現実の可能性を広げていくために出来ることを探していくことがこれからの発展にも繋がっていくことでしょう。

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