
アニメ「鬼滅の刃」が2週連続ミニシアターランキング1位になった理由
以前、SHAERPOPの記事では2019年春アニメの1話は「鬼滅の刃」(以下「鬼滅」)が、1番Tiwtterで話題になったことをお伝えしました。
TV放送に先行して公開された劇場版「鬼滅の刃 兄妹の絆」が2週連続でミニシアターランキング1位を獲得するほどのヒットを記録した事も要因の一つとして考えられますが、そもそもどのようにして劇場版の動員数を増やしたのでしょうか。
今回は、鬼滅で見られたプロモーション施策の中でも劇場プロモーションについて紹介します。
そもそも「鬼滅の刃」とは
「鬼滅の刃」は週刊少年ジャンプで連載中の漫画で、単行本1巻~14巻の累計発行部数は350万部を突破するほどの人気作品です。
アニメ化にあたっては、そのクオリティの高さからアニメファンの間でも評価が高い「ufotable」という会社が制作を担当しています。「ufotable」の作品だから見るという声も見られました。
甲鉄城のカバネリか鬼滅の刃どっちか見ようかな。鬼滅の刃はufotableが作画だから気になる
— らいちゃん (@raichan0724) 2019年4月22日
えっ
鬼滅の刃アニメufotableなんですね!!!!!!!
わあ!!!!!
!!製作会社で見るアニメ決めたのはじめて!!!!!!!!!!!!!
— コイキング (@inoco1___) 2019年3月20日
アニメ放送前の劇場版
鬼滅の1話TV放送は4/6ですが、放送開始1週間前の3/29から映画館で、TVアニメ第1話~第5話で構成される特別上映版を放映していました。
公開3日で動員数1万人、初週のミニシアターランキングでは1位を獲得するほど多くの原作ファンが劇場版を見ています。
TVアニメ放送前に特別上映版を見た原作ファンは、原作を大切にした作画、演出、音響などの出来に感動し、劇場版の感想を熱く語り、作品のプレゼンをします。
鬼滅映画レポ漫画です。鬼滅の刃はいいぞォ…………ッッッ!!!!!
(※ネタバレ注意) pic.twitter.com/PF0DEg59Af— がらす (@Shiku_clear) 2019年3月30日
そして鬼滅の刃の映画感想…
思いをぶちまけたくてメモに打てるだけ打った… pic.twitter.com/G8FjbbIUol— もちょ (@____k_m_t____) 2019年3月31日
鬼滅映画レポ
ネタバレ注意!! pic.twitter.com/M0DcDaLF50— ゆるゆ(ジャンプ (@ktcha666) 2019年3月31日
感想ツイートの内容が多少カオスで訳が分からなくても、勢いがあればあるほど、熱い本音の口コミとしての信頼が高まる傾向が高いのがTwitterです。
熱いツイートを見た「鬼滅ファンではない人」は、作品の名前を認知し「そこまでオススメなら…」と、ひとまずアニメ1話を視聴します。
TLで読んでる人多い鬼滅、見てみよう
— アーク・シド😈🌸 (@warehaCPchu) 2019年4月1日
TLの信頼できるオタクの皆さんが鬼滅はいいぞって言ってた気がするから私気になります
— 優羽 (@Lyra_S_zeh) 2019年3月30日
アニメ放送後の劇場版
累計発行部数350万部の原作の面白さと、制作会社自体にファンができるほどのufotableの作画。
早く続きを見たくなり、まだギリギリ放映している特別上映版を見に行きます。
鬼滅の刃の続きはよ見たいわ映画行くかって気持ちになって映画の上映場所調べたらめっちゃ地元でやってんじゃんってなったから行きたい
— うのかわ (@warudori1986) 2019年4月7日
んでもって昨日鬼滅の刃見たんだけど5話まで見れる映画のやつめっちゃ行きたい…………続き気になるし作画が最高なので映画館の大きなスクリーンで見たい……
— はちよ🦹♂28日フルコ一般参加予定 (@84_rog) 2019年4月7日
鬼滅の刃おもしろかったー!
映画館で観ると迫力があるね!
続きも楽しみ~😊✨ pic.twitter.com/Ce2wKFsLt1— ちび (@yoi_ice_panda) 2019年4月11日
このようにして、「鬼滅の刃 兄妹の絆」は2週連続でミニシアターランキング1位を獲得し、作品全体の新規ファン層の開拓へと繋がったと考えられます。
もちろん、1話を見た全員が劇場に足を運ぶわけではありません。
ですが劇場版はTVアニメ視聴者を増やし、ファンになりえる人を増やすのに大きく貢献したと言えるでしょう。
「映画を観た人が熱いプレゼンをすることで新規ファンが増える」という流れはアニメ作品以外でも見られるものですが、今回と似た動きとして「キンプリ」のケースもご紹介します。
キンプリとは
「キンプリ」とは正式名称を「KING OF PRISM」という、女児向けアニメである「プリティーリズム・レインボーライブ」に登場する男性キャラの、女性向けスピンオフ作品です。
「KING OF PRISM」としての初作品は、2016年1月に劇場公開された「KING OF PRISM by PrettyRhythm」でした。
元となった作品が女児向けアニメという事から、元々多くの女性ファンがいる作品ではありません。
そのため、5枚綴りの鑑賞券販売などリピーターに向けた施策となっていました。
【前売券11/7発売】A:5枚綴りグループ前売鑑賞券「正装ver」:月明かりに照らされた美しいプリズムボーイ達。神殿に正装で佇む彼らの雄姿を瞳に焼き付けてくださいね。 https://t.co/FhlHQ8P61h #kinpri pic.twitter.com/lntYxUJodp
— KING OF PRISM (キンプリ)公式 (@kinpri_PR) 2015年10月26日
カオスな感想マンガと「キンプリはいいぞ」
結果として熱心なリピーター層を形成することに成功しますが、それだけでなくファンの中には熱くて勢いのある感想と共に「キンプリはいいぞ」とプレゼンを始め、感想を漫画にして投稿する人も現れました。
キンプリはいいぞ。語るだけ野暮とかそういうことじゃなくて本当に言葉にできないんだ。兎に角一度観てその熱量に圧倒されてくれ。
— ナゴヤトシアキ (@pztmt) 2016年1月9日
キンプリレポ漫画 https://t.co/ZaHLJqhGiQ pic.twitter.com/Dtnq9DEEPe
— ふぁっ熊 (@fakkuma) 2016年2月12日
熱くて勢いのある感想をツイートできる空気が生まれた
感想マンガのカオスさが逆に「ツイートの内容が多少カオスで訳が分からなくても、勢いがあればあるほど、熱い本音の口コミとしての信頼が高まる」というTwitterの傾向とマッチし、多くの「ファンではない人」に届きました。
最近タイムラインに現れた謎ワード、キンプリ。
— 石黒 きこ (@kiko0926) 2016年1月29日
ちょっとまってwwwwwwwwキンプリにめちゃくちゃ興味湧いてきたwwwwwwwwwwww>RT
— ゆうと (@_y_u_t_o_) 2016年1月29日
「キンプリ 応援上映」で検索して感想見るのめっちゃ楽しい。
— えあ*新刊委託中 (@ea155) 2016年1月29日
そして映画を見た後にツイートする感想は、それまで見たキンプリ感想と同じように、カオスで勢いがあって熱いものでした。
めちゃくちゃキンプリのことについて喋りたい感想言い合いたいのに映像の情報量多すぎて正直尻からはちみつとセロリは火を通すとくさみが無くなって食べやすくなることと公道での二人乗りは禁止なことと大和アレクサンダーしか覚えてなくて言えないの辛いうと10回は観ないとまともに感想すら言えない
— ツンデレの歳上はここです (@kiyashi10) 2016年1月29日
キンプリ初見応援上映レポ(ネタバレになるかもしれないし、ならないかもしれない) pic.twitter.com/cpYH8yKnEP
— 赤月 影 (@tear24) 2016年2月15日
このように、熱い感想ツイートを見る→気になってキンプリを見に行く→見た後熱い感想ツイートをする→そのツイートを他の人が見る… という連鎖を繰り返し、新規ファンを獲得していきました。
多くの新規ファンを獲得した結果、続編の映画やミュージカルへの展開もされ、ついに2019年春からTVアニメ「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」の放送が開始しています。
今回は「映画を観た人が熱いプレゼンをすることで新規ファンが増える」という、劇場とTVが連動したプロモーションの例を紹介しました。
今後もアニメ等のプロモーションに、テレビやネットだけではなく映画を使用する例が出てくると考えられます。楽しみですね!
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